雨模様に悩んだ後、結局お隣の久々野駅までやってきました。 岐阜県高山市久々野町に位置する久々野(くぐの)駅は、1934(昭和9)年10月25日に開業しています。 ここにも、モルタルの壁にトタン屋根、少し無骨な感じの木造駅舎があります。 |
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ファサードの様子です。 平らな屋根を乗せたファサードは飾り気がなくシンプルな形です。 |
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ファサードの平らな屋根の上に掲げられた駅名板です。 白い鉄板に黒い文字。こちらも飾り気のない形です。微妙に傾いた姿に親しみを感じます。 |
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ファサードを右斜めから見てみます。 シンプルな屋根、シンプルなひさしの支え、これまでの重厚な木造駅舎とは違った趣があります。 |
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屋根妻部分には個性的な空気孔があります。 | ||
入口右側、待合室の様子です。 駅員さんのいる駅らしく、待合室はきれいに整備されています。広々とした待合室に木のベンチが温かな感じです。 |
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入口の脇に貼られた建物財産標です。 昭和9年10月、開業当時の建物であることがわかります。 |
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ホーム側から見た改札付近の様子です。 白い漆喰の壁にメタリックなアルミサッシと改札ラッチ、これまでの板張りの建物と比べると軽い感じはありますが、それはそれで趣があります。 |
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改札口の上部には、レトロなホーロー引きの看板が設置されています。 | ||
駅長室にかかるのは、白い鉄板に黒い文字、こちらもレトロ感のある看板です。 | ||
岐阜方面側からみたホームの様子です。 単式島式2面3線のホームを持ちます。ホームとホームの間は跨線橋で繋がっています。 漆喰の壁に色あせたトタン屋根、美しくはないけれど、味わいのある駅舎だなと思います。 飛騨一ノ宮駅で降りだした雨は若干弱まり空も明るくなってきました。しかしまだ完全にやんだわけではありません。空模様をにらみながら、次の駅に進む決心をしました。 |
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久々野駅で1時間29分を過ごし、次の次、飛騨小坂駅に到着しました。 岐阜県下呂市小坂町に位置する飛騨小坂(ひだおさか)駅は、1933(昭和8)年8月25日に開業しています。 |
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ファサードの様子です。 三角屋根を支える太い柱は丸太を組み合わせてできています。また、丸太を貼り合わせた壁など駅舎全体にふんだんに丸太が使用されています。山小屋風のこの駅舎は、中部の駅百選にも選ばれており、間もなく取り壊される予定の中央本線の大月駅と並び称されています。 |
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ファサードに掲げられた駅名板です。 一枚ものの木の板に、JR東海のロゴマークと駅名が記されています。 |
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ファサードを右斜めから見た様子です。 石組みの土台に丸太を積み重ねた柱、壁、窓枠など、美しい姿です。もともと林業が盛んで、森林資源が豊富な飛騨地方だからこそできた美しい駅舎の姿です。 |
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ファサードの横には丸ポストがあります。 木材をふんだんに使った駅舎にレトロな丸ポストがよくにあいます。 |
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入口右側、待合室の様子です。 外側と同じように、丸太を組み合わせた腰壁と木枠の窓を持つ広い室内には、木のベンチがゆったりと並びます。 |
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駅舎の横、高山方面側には井戸の跡があります。ポンプの胴体には「大黒号」と刻印がありますが、その意味はよくわかりませんでした。 | ||
ホーム側から見た改札付近の様子です。 こちら側も正面と同じように、石積みの土台と丸太を組み合わせた壁、そして木枠の窓です。 |
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ホーム側の改札の上に掲げられた駅名標です。 白樺の額縁に入った木の板に、隷書体で書かれた駅名、趣があります。 |
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駅舎側のホームの上屋の妻部分です。ここも柱や壁と同じように丸太の組み合わせです。 | ||
駅舎の反対側、島式ホームにある待合室です。もちろんここも丸太でできています。駅構内の設備のいたるところに丸太。林業の町飛騨ならではのこだわりなのでしょう。駅のあちらこちらに匠の技があふれています。 | ||
高山方面側から見たホームの様子です。 単式島式の2面2線のホームを持ちます。ホームとホームとは地下通路で繋がっています。それぞれのホームの地下への階段にかかる赤いトタン屋根の上屋が、雨に濡れて光っています。 飛騨小坂駅でも雨は降ったりやんだりで、ときに雨脚も強くなりました。正面のファサードではお迎えを待っているのでしょうか、傘をさした少女が二人、おしゃべりをしています。「写真撮るけど、いいかな」と声をかけると「あ、はい。ここどかなきゃ」と笑います。「写真がいやじゃなければどかなくてもいいよ」と言うと、にっこり笑ってそのままおしゃべりに戻ってゆきました。今風のギャルな感じだけれど、話してみれば意外と素直、旅先で若者と触れ合うたび、そう思います。 |
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雨模様の飛騨小坂駅で38分を過ごし、本日の宿泊地、高山へ戻ります。 高山駅に着き、手打ちそばが食べたいなと思い、駅前のお蕎麦屋さんへ。しかしとき既に遅しで、閉店した後でした。 1日目、駅前のお土産屋さんに出ていた「みたらし団子」。あぁ、食べたいなぁと思ったのに残念ながら売り切れで、昨日よりも遅い今日は看板すらなく。上枝駅でのぼんやりでやむなく高山駅に降り立ったときどうしてそこに思いいたらなかったのかとすごく後悔。 夕暮れの中、町を歩くには少し疲れたので、駅で駅弁を買うことにしました。 飛騨牛入りの「牛しぐれ弁当」は、ひもを引くと熱々になる仕掛け。 昨日、今日と連泊のホテルの部屋で、ゆっくりと食べることにしました。 |
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たっぷりの牛肉がご飯に乗った牛飯は、温かくてなかなかおいしいものでいた。メインの牛肉もさることながら、付け合わせの山ゴボウのたたきが美味でした。飛騨牛のステーキには遠く及ばないけれど、それはそれでよいかもねぇ、の夕ご飯でした。 | ||
夕方ホテルに戻ると、フロントにおられた支配人が「お疲れ様」の声ととに、パンを一つくださいました。昨日、今日と連泊の私へのサービスでしょうか。 高山本線2日目の旅は、高山駅を中心に7つの駅を巡りました。森林資源が豊富な飛騨らしく、どの駅も木材をふんだんに使った木造駅舎でした。駅舎の壁、柱、天井など、そこここに匠の技が光る建物は、木の香りとぬくもりにあふれたすてきなものでした。 |
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2009年8月6日(木)
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