《高山本線・3日目・その1》
  
さて、2日間お世話になった高山とも別れを告げ、旅の最終日が始まります。
高山本線3日目の旅は、昨日の最後の訪問駅、飛騨小坂駅から先へ進みます。
高山駅5時30分、残念ながらの雨模様の中、上り岐阜行きの始発列車に乗り込みます。
本日の最初の訪問駅は、飛騨小坂駅の2つ先、上呂駅です。
岐阜県下呂市萩原町上呂に位置する上呂(じょうろ)駅は、1933(昭和8)年8月25日に開業しています。
ここにも朝靄に包まれた木造駅舎があります。
ファサードの様子です。
平らな屋根を乗せた庇と、その上の白壁の中の木枠の明りとり窓とのバランスがとてもきれいです。
ファサードの脇に掲げられた駅名板です。
焦げ茶色木の板に立体的に貼りつけた木の白い文字。手作り感があって、とても素朴な味わいです。
駅舎の左側、窓の脇にも駅名板があります。
こちらは白い板に角ばった黒い文字。一文字ずつの板の上には、ご丁寧に屋根があって、微笑ましい感じです。
駅舎を右側、岐阜方面側から見た様子です。
窓こそはアルミサッシですが、その下の下見板張りの壁や、白い壁など美しいものです。
入口の脇に貼られていた建物財産標です。
昭和8年3月、開業当時の駅舎であることがわかります。
待合室に入って何気なく見上げた天井は、木目も美しい竿縁天井です。右上の四角い板張りは、ストーブの煙突の跡でしょうか。
入口右側、待合室に設置されたベンチです。壁に作りつけの木ベンチは焦げ茶色に塗られ、つやつやと光っていました。
岐阜方面側の跨線橋の上から見た駅舎の様子です。
切妻屋根のトタン板はエメラルドグリーンに塗られ、すがすがしい感じです。まっすぐに伸びた雪止めがよいアクセントになっています。
ホームから見た改札付近の様子です。
ホームより少し下がった位置にある駅舎には、階段をトントンと降りて行きます。ホーム上の白い柵とエメラルドグリーンの屋根の重なりが美しいと思います。
対向式のホームから線路越し見た駅舎の様子です。
雨模様で朝靄の立ち込める中、ここでもエメラルドグリーンが美しく映えています。
高山方面側から見たホームの様子です。
対向式2面2線のホームを持ちます。ホームとホームは跨線橋で結ばれています。これまでのほとんどは有蓋の鎧のような跨線橋でしたが、上呂駅の跨線橋は無蓋。跨線橋の上から景色が見られてとてもさわやかな感じでした。
上呂駅で約1時間を過ごし、また列車に乗って、お隣の飛騨萩原駅に到着しました。
岐阜県下呂市萩原町萩原に位置する飛騨萩原(ひだはぎわら)駅は、1931(昭和6)5月9日に開業しています。
2004年に町村合併で下呂市になる前は、当時の増田郡の中心駅だっただけに、立派な木造駅舎があります。
ファサードの様子です。
真壁造りの白い壁に三角屋根、とても端正なファサードです。
入口右側、待合室の様子です。
木の柱に白い壁、縦羽目板張りの腰壁など、和の雰囲気に満ちています。室内に置かれた木製のベンチには、座布団が敷かれ温かです。
入口の脇に貼られた建物財産標です。
昭和6年11月、開業当時の建物です。
ファサードの脇にはレトロな丸ポスト。木造の駅舎によいアクセントになっています。
高山方面側から見たホームの様子です。
単式島式2面3線のホームを持ちます。ホームとホームは有蓋の跨線橋で結ばれています。
待合室で次の列車を待っていると、下り列車が到着し、近くの高校の学生がたくさんおりてきました。駅員さんに定期券を見せて改札を抜けようとした女子高校生が立ち止まって「あ、傘忘れちゃった」と叫びました。駅員さんはにっこり笑って「早く取ってきなさい」と答え、走って戻る少女の後ろから改札を入り、最後尾の車掌さんに「傘忘れたんだって。ちょっと待ってて」と声をかけました。ローカル線ならではの、温かい場面だなぁと、こちらまでほんわかしyた気持になりました。
乗客と駅員さんの温かいやりとりと見たりしながら、約1時間を過ごし、また列車に乗って、次の次の下呂駅にやってきました。
岐阜県下呂市幸田下小瀬に位置する下呂(げろ)駅は、1930(昭和5)年11月2日に開業しています。
「天下の三名泉」と呼ばれる日本屈指の温泉地、下呂温泉の玄関口のこの駅には、大きくて立派な木造駅舎があります。
ファサードの様子です。
三角屋根の堂々としたファサードは、丸太の梁がアクセントになっています。下呂温泉の玄関口らしく、歓迎の看板がかけられています。
駅前広場にはこんなモニュメントがあります。
「白鷺がみつけた下呂温泉」と表題のついた説明書きには、薬師様の化身の白鷺が舞い降りたたところから熱いお湯が湧き出したというようなことが書かれています。
ホーム側改札口付近に貼られた建物財産標です。
ほぼ開業当時の駅舎は、幾たびか改装されて、立派な駅舎になったようです。
ファサード横の庇の下には大きな龍がいて、観光客をお出迎え、お見送りしてくれます。
長さ約20m、重さ約150kgもある巨大龍くんは、下呂温泉まつり(8月7〜9日)の初日に行なわれる「龍神火まつり」で数年前まで実際に使われていたものだそうです。
入口右側、待合室の様子です。
広々とした空間に木でできた椅子が置かれ、ゆったりとした雰囲気です。天井のライトの和のイメージも、温泉街にぴったりな感じです。
入口正面、改札口です。
アルミ製の有人ラッチはぴったりと閉ざされています。列車ごとに改札を行うため、自由にホームに入ることはできません。ホームの上屋の下にいる大きな龍くんがとても気になります。
ホームに入れないので、待合室の椅子に座って次の列車の時間を待ちます。時刻は朝9時。ちょっと小腹もすいてきたので、売店で牛乳を買って飲むことに。ビン牛乳を期待したけれど、残念ながらの紙パック。でも、地元の牛乳には違いないので、記念に一枚。
上り列車が到着し、改札が始まってやっとホームへ。あんまり時間に余裕もなく、反対側のホームに渡ることもできず、したがって大きな龍くんを撮影することもできませんでした。
岐阜方面側から見たホームの様子です。ホーム上屋も大きな龍も、とてもよい雰囲気なのに、近づけなかったのは残念でした。
ホームは単式島式2面3線。列車は乗降客の便宜を図って、ほとんどが駅舎側の1番線からの発着です。
朝から降ったりやんだりの雨は、ここにきて少し雨脚が強まり、有名な温泉街でありながらゆっくりと散策もできなかったのはちょっと残念なことでした。
2009年8月7日(金)