旅の初日、太宰治の故郷を求めて、五能線に乗り込みます。
五能線は正式には川部―東能代間を走る路線ですが、奥羽本線の弘前駅からの直通列車も多く出ています。
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弘前駅から3つ目、藤崎駅です。
青森県南津軽郡藤崎町に位置する藤崎(ふじさき)駅は、1918(大正7)年9月25日、陸奥鉄道の駅として開業しています。
島式1面2線だったホームは上り線が撤去されて棒線駅となっています。
濃い茶色のニスがかけられた下見板張りの壁に、赤いトタン屋根が落ち着きを見せています。
残念ながら藤崎駅での下車はかなわず、車窓からの撮影です。
正面の姿も是非見てみたかった駅舎です。
藤崎駅の次の次、板柳駅です。
青森県北津軽郡板柳町に位置する板柳(いたやなぎ)駅は、1918(大正7)年9月25日、陸奥鉄道の駅として開業しています。
快速「深浦」や臨時快速「リゾートしらかみ」も停車する板柳駅は島式1面2線を持つ、そこそこおおきな駅です。
白い壁にエメラルドグリーンのトタン屋根がとてもさわやかな感じです。
この駅も下車はかなわず、車窓からの撮影です。是非正面の姿を見たいものです。
駅の周りには「りんご用冷蔵庫」と書かれた大きな倉庫が沢山あって、りんご王国青森を印象付けていました。
板柳駅のお隣、鶴泊駅です。
青森県北津軽郡鶴田町に位置する鶴泊(つるどまり)駅は、1918(大正7)年9月25日、陸奥鉄道の駅として開業しています。
下見板張りの壁を持つ駅舎は、以外と新しいのかもしれません。反対側の妻部分が駅舎の入口となっています。
鶴泊駅も下車できず通過、車窓からの撮影です。
鶴泊駅のお隣、五所川原駅です。
青森県五所川原市字大町に位置する五所川原(ごしょがわら)駅は、1918(大正17)年9月25日、陸奥鉄道の駅として開業しています。
津軽鉄道、津軽五所川原駅への乗り換え駅です。
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駅舎正面に掲げられた駅名板です。
濃い緑の壁面に、薄い萌黄色の文字がきれいにマッチしているなと思います。
駅舎内待合室には、こんなモニュメントがあります。津軽三味線を奏でる人のねぶたのようです。
五所川原地方のねぶたは立ちねぶたといわれ、人の立ち姿を立体的に表したねぶたです。実物では最大で20mもある、壮大なねぶたです。
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駅舎前の広場を挟んで正面には五所川原駅前案内所があります。
赤い屋根の下には「弘南バス駅前案内所」の看板が掲げられ、右側の緑色の屋根の下には「バスのりば」の看板が掲げられています。バスはここから発着するようです。
五所川原駅のホーム、川部方面側から東能代方面を見ると、青い屋根の建物が見えます。
駅舎から一番遠いところに位置する津軽鉄道のホームの川部寄りです。壁には「津軽鉄道のりば」と書かれた看板が掲げられています。青いトタン屋根のこの建物は、津軽鉄道の車庫のようです。
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カレンダーの日付は変わって2日目の8月1日です。
宿泊地の浅虫温泉から弘前を目指す途中の川部駅で途中下車。
青森県南津軽郡田舎館村に位置する川部(かわべ)駅は、1894(明治27)年12月1日、奥羽本線の駅として開業、その後1918(大正7)年9月25日、五能線が開通しています。
奥羽本線の駅であり、五能線の起点駅でもある川部駅には、背の高い立派な木造駅舎があります。
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駅舎正面のファサードと、ファサードに掲げられた駅名板です。
壁は新建材となり、駅名板もJR東日本の標準型の味気ないものです。そうであるにも関わらず、なんだか味のあるファサードだなと思います。
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ファサードの入口の脇に貼られた建物財産標です。
明治27年10月、まさしく開業当時の駅舎であることを表しています。
新建材、アルミサッシに囲まれているのに、どこなく威厳と趣があるのは、駅舎自体がずっと駅の歴史を見てきたせいでしょうか。
ホームを弘前方面側から見ています。
遠くに見える木造の上屋と、ごとごとと音を立てる白いキハがよくマッチしています。
単式島式2面3線のホームを持つ川部駅は、奥羽本線から五能線への分岐駅であるだけに大きく立派です。
写真のホームは中央にある島式ホーム、これとは別に左側(駅舎から離れたところ)に単式のホームがあります。
上の写真の左側に見える上屋の妻部分です。縦羽目板張りの板は、1枚1枚の端っこが丸くカットされて、やさしい雰囲気になっています。
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島式ホームの弘前方面側から見える駅舎のホーム側です。
駅舎側にもホームはあって、線路も通っているようですが、そこからは列車の発着なく、乗客の立ち入りはできないようです。ホームから見る駅舎も背の高さが際立つ立派な建物です。
島式ホームを東能代方面に歩いてゆくと、駅舎のホーム側の様子が正面から見られます。
駅舎の中央やや左(東能代方面寄り)に行灯型の「駅長室」の案内表示が付いたドアがあります。ドアの横の大きくひらがなで「かわべ」と書かれた縦型の駅名標が目を引きます。小学生が一所懸命お習字をした感じ、と言っては失礼でしょうか。
(でも、それゆえに温かさも感じるんですけどね)
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川部駅を出て弘前で趣のある建物を楽しんだあと、その日の宿泊地の鰺ヶ沢に到着しました。
リゾートしらかみ号も停車する鰺ヶ沢駅は、対向式2面2線のホームを持ちます。
その日乗ってきたリゾートしらかみ号(青池編成)と、普通列車のキハが並びました。
業務委託駅とは言え、駅員の常駐する駅のホームには、「指差確認」の標語が見えます。
跨線橋のコンクリートの壁に、黒地に黄色い手書きの文字がくっきりと浮き上がっていました。
「指差確認」のちょい脇には「手歯止め収納箱」と書かれた錆の出たボックスが置かれています。綱でつながれた二つの黄色い手歯止め(車止め)は、少し離れた壁にぶら下がっていました。
鰺ヶ沢駅の駅舎の正面です。
青森県西津軽郡鰺ヶ沢町に位置する鰺ヶ沢(あじがさわ)駅は、1925(大正14)年5月15日、陸奥鉄道の駅として開業しています。
1991年に改装された駅舎は、高原のコテージの雰囲気です。
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駅舎正面、ファサードです。
大きな三角屋根の妻部分はガラス張りになっていて、さぞかし明るい日差しが、と思うのですが、室内の天井は普通の天井の高さでふさがれていて、残念ながら光は届かないようでした。
ファサード、入口の脇に貼られた建物財産標です。
大正14年12月、確かに開業当時の駅舎です。おそらく土台はそのままに、改装を重ねてきたのでしょう。古いものを大切にする気持ちへの感謝と、もう少し古さを残してほしかったという残念な思いが同時に起きる駅舎です。
鰺ヶ沢を立つ最終日、鰺ヶ沢駅からリゾートしらかみ号(くまげら編成)に乗車です。
天気がいまいちだったのと、座席が海側でなかったのとで、絶景を味わうところまではゆきませんでしたが、そこそこ楽しめた列車旅でした。
また、夕日が売りの鰺ヶ沢のホテルでも、曇天模様で残念な結果でした。ただ、新鮮な海の幸の料理はおいしく、温泉も楽しめたので、花まるな旅だったといえるでしょう。
今回の五能線は下車駅に目的を持たせた旅でしたので、駅舎巡りとしては消化不良な感じです。でもまあ、みんなでわいわいとおいしい料理を食べる楽しみも味わえたし、友との語らいの場も持てたしということで、大満足となりそうです。
2010年8月1日(日)