恒例の寝台特急での夏旅、今年は寝台特急あけぼの号に決めました。
上野駅の構内にあるカフェで軽く食事を済ませ、出発の30分ほど前には地平ホームへ。地平ホームの入口にある行先表示板にも、赤い文字で「寝台特急 あけぼの」の文字が浮かび上がりました。青森行きの寝台特急は、13番線から21時15分の発車だと告げています。
寝台特急の指定席、地平ホームの一番端っこ、13番線にやってきました。
13番線の行き先表示にも、「あけぼの」と「青森」の文字が鮮やかに浮かび上がります。
確か去年の北陸号はその名前がなく、がっかりした記憶があるので、あけぼのの文字が妙に嬉しかったりしました。
出発の約15分前、青い列車が入線してきました。
頭端式の地平ホームには、先頭の電気機関車に押され、お尻からの入線です。丸みを帯びた青い車両は、照明の光を受けてぴかぴかと輝いています。
客車列車の最後尾にはあけぼの号のトレインマークが光ります。
出発時間まで15分。ゆっくりとホームを歩いて、先頭の電気機関車を見に行きます。
頭に二つのライトを照らす青い電気機関車は、あけぼの号のヘッドマークを付けて、りりしくスタンバイしています。
列車に近づき、ヘッドマークを付けた風貌をじっくりと観察。
客車と同様、こちらもきれいに磨かれて、ピカピカと輝いています。
あけぼの号のヘッドマーク、更に近づいて見てみましょう。
「あけぼの」とは夜明けのこと。バックのマリンブルーは海を、白の線は日の出の太陽を映す水面を、そして「あけぼの」の孤を描く文字は朝日を、表すのでしょうか。
高崎線、信越線、羽越線、奥羽線と、日本海側を走るあけぼの号では日の出は見られないだろうにと思いつつ、あけぼの号の歴史を紐解いてみました。
今でこそ日本海側をどっぷり走るあけぼの号ですが、当初は東北線の福島駅から奥羽線を経由して秋田へ出ていたとか。そんなことがヘッドマークの意味の中に隠れているのかいないのか。
青い電気機関車はEF64。勾配線区向け直流電気機関車です。
直流区間の長岡まで、寝台特急あけぼの号を牽引します。
そろそろ列車に乗ろうかなと、後部に向かって歩き始めました。
電気機関車と客車列車の間、つまり客車の先頭についているトレインマークです。
青い列車の側面には白い方向幕が光ります。
白地に特急列車を表す赤文字で「あけぼの」、行先の「青森」は青文字です。
列車の中ほど、丸いフォルムのこの車両はB寝台ソロ、ですね。
あけぼの号のBソロは真中に通路、寝台は両側でベッドは窓に平行、つまりこれまで乗ったはやぶさ号や北陸号とは違うんだよな、そんなことを思いつつ、更に後ろに向かって歩きます。
最後部車両に近づき、今日の乗車口が見えてきました。
中ほど、Bソロをはるかに超えて、2号車の扉から乗り込みます。
乗車口の頭上には「寝台特急 あけぼの 2号車」と書かれた乗車案内がぶら下がっていました。
星3つのB寝台、ここが今日の寝台車です。
いつもならB寝台ソロを確保します。でも、今年は少し違います。なぜならば、今年はお仲間がいるのです。今回は友人たちと3人の旅です。
何も一晩かけなくたって、途中八戸から在来線を乗り継いだって4時間もあれば到着するのに、是非寝台特急に、と主張したのは私でした。
はたして熟睡とはいかない真夜中の旅を、友はどんなふうに感じたことか。
途中、長岡での機関車の付け替えなど、何度かの運転停車をし、早朝3時19分の村上駅で目覚め、9時18分には目的地の弘前駅に到着するはずでした。
しかし、なかなか途中酒田駅を発車しません。どうやら電源車に不具合が起きてしまったようです。
約1時間遅れて寝台特急あけぼの号は弘前に到着。先頭の電気機関車は赤いのに変ってるんだよなとおもいつつ、後ろから2両目の2号車だし、終着駅ではないしで付け替え後の列車の見学はあきらめて後ろ姿を見送りました。
途中のアクシデントで弘前駅には1時間遅れの到着。次の列車の時間もあるし、と、列車の中で別メニューも考えました。とりあえず一旦外に出て一服しようかと改札を目指します。
改札口上の行先案内を確認して、あの列車に乗ればいいと目星をつけて、朝のカフェでコーヒータイム。
いつもは気ままな一人旅、でも今回はそうはいかないぞ、小回りも利かないから何かと大変だぞ、そう思った旅の始まりでした。
開放寝台で少しのお酒を飲みながら適当にしゃべってそれぞれの寝台に散って行った友たちは、快適だったのか不快だったのか、多くは語りませんでした。少なくとも熟睡はできず、多少なりとも疲れは残ったはず。それでもにこやかな笑顔を見るとき、一人じゃないのもいいかもなと思うのでした。
2010年7月30日(金)〜31日(土)