《豊肥本線・その2》
  
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豊後竹田駅で3時間近くを過ごし、再び列車に乗り、5つ目の宮地駅で降りました。
改札を出て、駅舎の正面にまわって見ます。目の前の赤い屋根の駅舎は立派で、しかもなんとなく厳かな感じがします。
熊本県阿蘇市に位置する宮地(みやじ)駅は、1918(大正7)年1月25日に開業しています。
駅から程近いところに阿蘇神社があり、駅舎はそれにちなみ、神社のお社を模した形になっています。第一印象が実に厳かなのは、そんなわけかもしれません。
右の写真は入口に掲げられた駅名板です。波型の額縁に縦書きの文字は、日本三大楼門のひとつに数えられる阿蘇神社の楼門に掲げられる額を模しているようです。屋根の下のしめ縄も立派です。
待合室の中の様子です。白木のベンチと高い天井から下がる灯が暖かな雰囲気を出しています。
待合室の壁にはこんなプレートがかかっています。2005年まで「SLあそBOY」として運行していた蒸気機関車のプレートです。
駅舎から改札を入るとすぐに、こんな施設が見えます。宮地駅で折返し運転をする蒸気機関車のための転車台です。つい最近まで、宮地駅が終点の「SLあそBOY」が使用する現役でした。
島式ホームに停車中のキハと、大きな屋根を持つ駅舎です。
宮地駅と豊後竹田駅の間は山間地で過疎地のため、列車の本数が非常に少なく、一日に5往復しかありません。その5往復を担うのが、白いボディーにブルーのラインのキハ40系ということになるのです。
ホームに設置された駅名標です。トレードマークは仙酔峡です。
宮地駅で50分ほどを過ごし、また列車に乗って2つ先の阿蘇駅に到着しました。
熊本県阿蘇市に位置する阿蘇(あそ)駅は、1918(大正7)年1月25日、坊中駅として開業、1961(昭和36)年3月20日に阿蘇駅と改称しています。
阿蘇山観光の玄関口にふさわしい、立派な洋風建築の駅舎があります。駅舎は開業当時の駅舎ですが、1988(昭和63)年に、ウエスタン調に改装されたそうです。
駅前には丸ポストもあります。観光地を意識して、ちょっぴりレトロ感も出してみた感じでしょうか。
相対式ホームを持つ阿蘇駅の、駅舎の向かい側のホームは幅が広く、半分は緑で覆われた形になっています。その緑の中に、丸太をイメージした水飲み場もあります。今は使われていないのでしょうか、蛇口などに汚れが目立ちます。
ホームに設置された駅名標です。トレードマークはもちろん、「阿蘇山」です。
洋風の立派な駅舎や広いホームなど、観光地阿蘇山の玄関口として、それらしい姿を見せている感じはします。しかし、SLあそBOYの運行が終了したなどの影響なのでしょうか、あれこれと観光施設を作ったわりにはちょっと寂しいかなという感じもしました。訪問したのが平日だったのと、お天気もすっきりしなかったのと、そんなことの影響もあるのかも知れませんが。
阿蘇駅でちょっぴり郷愁に駆られながら約40分を過ごし、また列車に乗って次の内牧駅で降りました。ここ、内牧駅には、列車を降りて、駅舎の姿を目にしたとたん、「おっ」と息を呑む感じのする駅舎があります。
熊本県阿蘇市に位置する内牧(うちのまき)駅は、1918(大正7)年1月25日に開業しています。1945年に空襲により駅構内、駅舎とも全焼したため、1950(昭和25)年に改築された駅舎です。
左側半分の平屋の部分には、「おとひめ」とかかれた看板が掲げられていて何かの工房になっているようです。
正面ファサードと駅名板です。
ファサードの庇は高く、庇の上に更に窓あるので、2階建てのように見えますが、実際には平屋建ての建物です。
整然と並んだ羽目板や窓が、なんだか美しいなと思います。
入口から入ってまっすぐ進み改札を抜けて、くるっと振り返ってみると、板張り、窓、庇、屋根の形状、まったく表側と同じ形の建物が見えます。異なるのは掲げられている看板が駅名板と駅名標との違いだけです。一瞬表にいるのか裏にいるのかわからなくなるような、ユニークなつくりをしている内牧駅の駅舎です。
待合室の中の様子です。外から見ると2階建てに見える建物は、中に入れば天井の高い平屋建てであることがわかります。高い天井、たくさんの窓からの明るい光、開放感いっぱいの待合室です。
駅構内から周りの景色を眺めていると、レトロな看板を見つけました。布団やさん?それともお菓子屋さん?
お隣の阿蘇駅とは違って観光色のないこの駅は、地元の人々のための駅なのでしょう、人影も少なくとても静かです。
昭和25年、ちょうど九州では門司、宇土、都濃といったモダンな前衛駅舎がたくさん建った時代でしょうか、流行を追うように建てられたユニークな駅舎は、観光地阿蘇にあって観光色もなく、ひっそりと美しい姿で佇んでいる孤高の存在のようにみえました。
内牧駅で1時間を過ごし、次の列車に乗って2つ先、赤水駅で降りました。
赤い屋根の木造モルタル作りの小さな高原の駅舎が、なんだかとてもメルヘンチックに見えました。
熊本県阿蘇市に位置する赤水(あかみず)駅は、1918(大正7)年1月25日に開業しています。駅舎は昭和13年に改築されています。
駅舎の妻部分から見てみます。ベージュの下見板張り、モルタルの壁、屋根妻にある換気口、懐かしい昭和時代の一軒家の香りがしてきます。
近くに温泉(阿蘇赤水温泉)があるせいでしょうか、小さな駅の割には乗客、特に大きなかばんを提げた観光客の方が多く、驚きました。小さな無人駅(民間の方と思われる方がおられましたが)ではあるけれど、臨時快速の「あそ1962」や「九州横断特急」の停車駅でもあるようです。
待合室は水色のペンキに塗られ、明るい感じがします。
ホームに設置された駅名標です。トレードマークはありません。地表式の駅名標の右側の柱にはホーロー引きの駅名標もあるのですが、白抜きの文字は錆びていて判読不能です。
晴れていればホームから美しい阿蘇山の外輪山を望むことができるのですが、あいにくの雨模様のため、残念ながら美しい姿を見ることはできませんでした。
2008年8月27日(水)