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房総半島はそろそろ菜の花が咲く頃かな、そんなことを思ったお彼岸の日でした。
まずは総武線直通の横須賀線に乗ろうと考え、東海道線で品川駅に出ることにしました。
東海道線は113系の湘南色の湘南電車。もうすぐなくなってしまうみかん色、休日に本数が増える気がするのはJRの粋なはからいなのかしら、と思ってみたりもします。
品川駅から総武快速線に乗り換えて約40分。列車は千葉駅に到着しました。
千葉駅は東京方面からやってきて、そのまま銚子まで行く総武本線、房総半島の内側を回る内房線、外側を回る外房線と、三つの路線に分かれます。別々の路線なのにそこを走る列車はどれも同じ113系の横須賀色です。しかし、よくみると、路線によって方向幕の色が異なります。二つならんだ列車の左側、青い方向幕は内房線、右側、赤い方向幕は外房線です。また、総武本線の方向幕は黄色でした。
別のホームには総武緩行線も停まっています。
京浜東北線を走る列車と同型で、かなりや色の209系です。
千葉駅から青い方向幕の内房線に乗って、五つ目の「五井駅」で降りました。ホームに降り、乗ってきた列車を見送った後、ふと視線を左側にずらすと、そこには朱色とベージュの小さな列車がたくさん停まっていました。
これがこれから乗る「小湊鉄道」の気動車、キハ214です。
内房線のホームから跨線橋を渡り、小湊鉄道のホームに降りました。列車は出たばかりなのか、ホームは閑散としていました。1時間に1本のペース、次の列車が出るまでの1時間近くをゆっくりと待つことにしました。
小湊鉄道は内房線の五井駅から房総半島を横断しながら養老渓谷などを通って上総中野駅までを走る私鉄列車です。終点の上総中野駅では、第三セクターのいすみ鉄道に接続し、そこから外房線の大原駅へ向かいます。
小湊鉄道といすみ鉄道、二つの路線が協力して房総半島を横切るのです。
ホームを上総中野方面に行くと、ホームの先端から車輌基地を横切るように踏み切りがあります。列車は出たばかり、しばらくはホームへの出入りはなさそうなので、ホームを降り、車庫の周りを歩き回りました。
朱色とベージュの小さな列車は、幼い頃に慣れ親しんだふるさとの大雄山線の昔の車輌を思い出させてくれました。
列車
五井駅から五つ目、光風台駅です。
特に理由もなく、とりあえず降りてみようかな、と思った駅です。
駅舎は比較的新しく、また、新しい住宅も多くて、ニュータウンなのかなという感じです。
光風台駅を降り、五井方面に戻る形で線路沿いを歩き始めました。
最初に出会った踏切を、少し線路の中に入ると、線路に敷かれた石の間にたんぽぽが咲いているのが見えます。
硬い石の間で、たんぽぽもがんばっているな、と元気が出てきます。
線路沿いを五井方面にしばらく行くと、急に視界が開け、川の流れにぶつかります。
赤い鉄橋の下を流れるのは「養老川」。さっき降りた下り電車と、どこかですれ違ったはずの上り電車を待つことにしました。
赤い鉄橋をたった一両の気動車が走ります。
列車が通過した後の線路に立って五井方面を眺めてみました。
線路は鉄橋を渡り、ゆるやかにカーブを描きながら、次の駅、上総山田駅に繋がってゆきます。
養老川の鉄橋の上で、何本かの列車を見送って、ふと時計をみると一時間近くが過ぎていました。
たんぼを突っ切る線路に沿って、道のない道を歩きます。
上りと下り、各1両ずつのキハを見送って、約1時間ほど歩いた後に、次の駅、「上総山田(かずさやまだ)」駅が見えてきました。
赤い瓦屋根がちょっとかわいらしい感じです。
光風台駅を午後2時頃に出て、立ち止まったり歩いたりでもう2時間の時間が過ぎていました。4時を回って、陽はは落ち初めていましたが、もうちょっと歩いてみたくなりました。
上総山田駅から約10分ほど歩いたとき、たんぼの真ん中で上り五井行きのキハに出会いました。
更に約10分、今度は下り上総中野行きに出会います。
後ろに見えているのは、学校でしょうか。
上総山田駅から約30分、やがて次の駅、「上総三又(かずさみつまた)」駅が見えてきました。
ホームにはログハウスのような待合室・・・いや、これが駅舎でした。
ログハウス風の駅舎から、線路はたんぼの中をまっすぐに伸びてゆきます。
線路脇には菜の花も咲いています。
そうです。春を告げるこの花を、ここまで見に来たのです。
しばらく駅の周りをぶらぶらしていると、やがて上り五井行きのキハがやってきました。
ログハウスと朱とベージュのツートンカラーのキハ、なんだかとってもお似合いです。
上総三又駅で、上り五井行きを見送ってしまったので、もう少し歩くことにしました。
さっき上総三又駅を出た上り列車とすれ違ってきたであろう下り列車が、たんぼの中からやってきました。
1両でとことこと走っていたキハは、夕方になると2両編成になるようです。
列車を見送ったあとの線路です。線路はどこまでもまっすぐに伸びています。
だいぶ春めいてきたきた日差しも、5時半が過ぎて日没が近づいてきました。
沈みかけた夕日に、線路がきらりと光ります。
上総三又駅から約50分、家々に灯が灯り始めるころ、お隣の「海士有木(あまありき)」駅に到着しました。
ここは単線の列車がすれ違う駅らしく、対向式のホームです。
有人の駅のようですが、休日だからなのか、それとも時間が遅いからなのか、駅長室は閉まっていて、駅員さんはいませんでした。
駅舎の感じは、上総山田駅によく似ています。
次の駅、「上総村上(かずさむらかみ)」駅を残して、ここから列車に乗ることにしました。
お彼岸をはさんだ三連休、早春の陽はもうとっぷりと暮れかかっています。
2005年3月20日(日)