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今日の電車旅は房総半島を一周する旅。
東京駅から総武線に乗って、千葉駅まで出ます。
さて、ここからどっちへ行こうかなと、しばし時刻表の巻頭路線図を見入ります。
途中までは山だけれど、海側に出たら断然こっちの方が海に近い、これなら窓から海が良く見える、そう踏んで、外房線からめぐることに決めました。
日曜日の昼下がり、電車の中はがらがらです。このゆったり感が各駅停車の旅の醍醐味。
しばらく山間を走ったあと、勝浦付近でやっと海岸線に出ました。
電車の窓から良く晴れた初秋の海が見えます。
しかし、路線図で見るほど海岸線に近くなく、とぎれとぎれの海姿にちょっとがっかりだったりもしました。
外房線の終着駅は安房鴨川。そして、そこは内房線の始発駅でもあります。蘇我駅で別れた二本の線は、ここで再び出会うのです。
ホームには、出発の時間を待つ内房線・館山行きの電車が停まっています。藍とベージュのツートンカラー、113系の横須賀色の電車です。
電車はまるでそこに佇み、ひなたぼっこをしているようでした。
安房鴨川駅で下車し、駅舎を出ます。
電車の窓から途切れ途切れに見えていた海を目指して、まっすぐに歩いて行くと、道はT字路にぶつかり、やがて目の前にいっぱいの青が広がりました。
夏のきらめく海とはちょっとちがった、深い青のたたずまい。防波堤のテトラポットで一度波は砕け、浜に凪いだ波をよこします。
ほら、都会では決して見えないもの、水平線があんなきくっきりと見えますよ。
白く砕ける波を追って、ウエットスーツに身を包んだ若者たちは水面に向かって行きました。
約1時間ほど、海岸でぼっと海を眺め、また安房鴨川駅に戻ってきました。
ホームには、東京行きの特急「ビューさざなみ」が停車しています。
内房線の車窓から見える海。
やはり「外房線から出発計画」は失敗だったな、と実感しました。こちらからはほとんどずっと海が見えるのです。
安房鴨川から少し行ったところ、千倉あたりの海です。
秋の日はつるべ落とし。晴れ渡りぴかぴかだった空は、あっというまに暮れなずんでゆきました。
西側に沈む夕日が、東側の海の上空をたそがれ色に染めて行きます。
内房線、勝山近辺の車窓からみた空です。
安房鴨川を出てから約2時間半、電車はゆっくりと千葉駅に滑り込みました。千葉駅で総武線に乗り換えて東京駅へ。
やれやれと心地よい疲労感に酔いしれているとき、反対側のホームに停まっていたのは183系の「特急さざなみ」です。
ベージュに赤の帯。馴染み深い特急の姿。ビューの軽快さとはまたちがった、重みと暖かさを感じる電車です。
2004年10月17日(日)